ただでさえややこしいカーナビの購入まわりの事情諸々だけど、それをさらに難しくしているのが同じモデル/機種の中にたくさんある「サイズ違い」という存在でしょう。
この記事では、カーナビの販売経験がある僕が
- カーナビの「サイズ」というものの概要と種類、その大きさ
- 自分の車に合うサイズを調べる方法
という2本立てで説明をしていきます。
「サイズ」という要素以外に他の内容が多々絡んでくる領域なので、そういった部分は極力他記事へのリンクに留めるなどなるべく本筋から離れないような解説を目指しています。
カーナビの購入に関して体系的に理解できるようにまとめた記事もありますので、そちらから読んでいただけるとこの記事の内容もさらに分かりやすくなると思います。
なお、今回は輸入車については話の対象としていません。
1.カーナビのサイズとその種類
カーナビのサイズについて、初めの部分から説明していきます。
カーナビのサイズは車側の規格から決まっている
一番基本となる部分ですが、ここを説明するためにはまず車側の事情を理解しないといけません。
まず第一に、多くの人がイメージする標準的なカーナビのサイズというものは、ほぼ2通りしかありません。
以下の画像を見てくだされ。
よくカーナビやオーディオが収まっている場所のイメージがあるこの部分。
ここを「DINポケット」などと呼びます。
DINとは
DINという言葉が出てきました。これはドイツの工業規格の略称(Deutsches Institut für Normung)で、日本ではJISに当たるようなものです。
この規格によって「ダッシュボード(インパネ)に取り付けるカーラジオ等のサイズは 横幅180mm × 縦の高さ50mm にしよう」と決まっています。
これを「1DIN」(ワンディン)と呼んでいます。
でもこの高さだと、薄いですよね。
そうなんです、現在のカーナビは縦がこのサイズの2倍、つまり「2DIN」という横幅180mm × 縦の高さ100mm のサイズが主流になっています。
見慣れたサイズになりましたね。これも普通に「ツーディン」と呼んであげましょう。
ここまでで分かったことは以下の2点です。
- カーナビ・カーオーディオの基準サイズは「DIN」という規格で決まっており、それは180mm × 50mmの「1DIN」と呼んでいるものである
- 現在のカーナビの一般的なサイズは「2DIN」という180mm × 100mmのものであること
さて、次からは「インチ」という言葉が登場します。
「7インチ」の2DINと「7インチワイド」の2DIN
カーナビを購入しようと思っているときによく聞くことになるのは「7インチ」や「8V型」などのワードだと思います。これらはいずれも画面サイズのことであると同時に、ナビ自体のサイズのことも指しています。つまり、前述した2DINなどと関連があります。
というわけで、結論からいきましょう。
「7インチ」と呼んでいるのは「2DINサイズそのまま」のことで、
横180mm × 縦100mm 、
「7インチワイド」または単に「ワイド」と呼んでいるのは
横200mm × 縦100mm というサイズ
つまり、「ワイド」と付くモデルは標準の7インチモデルより横幅が2cmだけ大きいのです。ここかなりポイント。
少し前に言った「カーナビのサイズは基本的に2通りしかありません」の2つは、ここの2つのことです。
今はこれだけ覚えておけばとりあえずは一安心と思ってください。
カーナビのラインナップを見れば、すぐに同じ型番で末尾に「W」と表記があるものに気付けるはずです(carrozzeriaなど型番の中ほどが「W」に変わるケースもあります)。
上図のように、同じ機種での7インチモデルと7インチワイドモデルの見分け方は非常に簡単。ワイドモデルは操作ボタン類が右側に来るケースがほとんどなので、パッと見でも間違えることはないと思います。
これで、最も基本的な2つのカーナビサイズについての概要と、その見分け方まで分かりました。ね、意外と簡単でしょう?
8インチ以上のカーナビは?
こうなると次なる疑問は
「8V型」とか「大画面10インチ」とかよく聞くけど、その辺はどういうこと?
というところでしょう。答えは以下です。
8インチ以上のナビは、取り付けられる車種が決められており、その都度適合を調べる必要がある
となります。
要は、「汎用的なサイズは7インチ(ワイド)までなので、それ以上の大きいサイズは対応する車にしか付けられないよ」ということになります。よく聞く「車種専用モデル」などという言葉は全てここに入ります(極一部、アルパインのナビなどで例外あり)。
ちなみにですが、「◯V型」や「◯型」と「◯インチ」は全て同じ意味で使われていますのでシンプルに考えてOKです。呼び名が多いのがややこしくしている一番の原因だと僕も思うけど。
以下各サイズについて軽くご紹介します。
8インチ
8インチの対応モデルはここ最近になって一気に増えてきました。7インチの汎用サイズに一番近いだけあって軽自動車でさえラクラク取り付けできてしまうこともあるから、というのが理由として大きいと思います。
今後各社から主力的に展開されてくるサイズだと思われるので、逐一適合情報をチェックしてみると良いでしょう。当然7インチより大きいサイズの中では最も適合車種の数は多いです。
仮にもしご自分の車種が8インチ以上に対応していない場合は、「ポータブルナビ」という選択肢もあります。
ポータブルナビを侮るなかれ、実はちゃんと付ければめちゃめちゃかっこよく取り付けできるし性能も現行の最新機種はDINカーナビと遜色ないですよ。
気になった方はポータブルについての完全まとめ記事をぜひどうぞ。ポータブルナビについて全てが分かるようになっています。
この記事を読んでたくさんの方がポータブルナビを買っていかれております!
一番売れているのはやっぱりゴリラのバランスモデル 。
「ポータブルナビなんて論外だよ舐めんじゃねぇ」という時代はとっくに終わってます。現実的な検討候補に入れることを強くおすすめします。
9インチ
9インチというサイズは立ち位置的にはわりと微妙なところに居て、該当製品も少なめです。アルパインの「BIG X」シリーズとパナソニックの「CN-F1D」シリーズというかなり特殊なモデルが代表例でした(2019年以降ではcarrozzeriaの「サイバーナビ」と「楽ナビ」シリーズからも9インチが発売されています)。
インチ数の数字をピンポイントで狙って購入を検討することはないかと思いますが、「8インチよりも9インチ!」などの考え方が先行してしまうとやや危険。
10インチ
各社の車種専用設計の限界は10インチで一区切りといった感じ。
現在販売されているのはcarrozzeria(パイオニア)の「サイバーナビ」シリーズとアルパインの同じく「BIG X」シリーズのみです。
適合する車種はアルファードやセレナ、ヴォクシーやノアなどのミニバンのみというが基本。画面が大きいことに加え、その車種に合わせて完全にオリジナル設計になっているのでどこまでが車の純正インパネ部分なのか分からないほど一体化するというのが最大のメリットです。
所有欲の満たされる一品であること間違いなし。
11インチ
本記事執筆現在、存在するのはアルパインの「BIG X 11」シリーズのみです。アルパイン自体がもともと、汎用カーナビは現状ではほぼ販売していないに等しい状態で、7インチのものから全て車種専用設計で作っている珍しいメーカーなんです。
取り付けできるのは10インチと同じくミニバン系のみ、あとは特殊なパッケージでハイエース等も適合します。ナビ自体がかなり大きいのでこればっかりは仕方ない。
カーナビのサイズとその種類についてまとめ
カーナビのサイズについての全容は以上です。知ってしまえば思ったよりシンプルだったのではないでしょうか?
ここまでを一旦まとめておきましょう。
- 基本的なカーナビのサイズは2DINと呼ばれる7インチサイズのもの
- 7インチには横幅がちょっとだけ広いワイドモデルが存在する
- 8インチ以上は「車種専用モデル」といって、どの車でも付けられるわけではない
これだけ分かっていれば困ることはないと思います。
ではいよいよ、自分の車に合ったサイズを探すことにしてみましょう。
2.自分の車に付くサイズはどれ?調べる方法は?
「自分の車に取り付け可能なカーナビのサイズは一体どれなのか?」ということなんだけど、難しい専門知識がなくても(ある程度は)簡単に絞れてしまうのでご安心ください。
以下の手順に則って進めます。
- 前提条件の確認
- 8インチ以上の車種専用モデルの適合に該当していないか確認
- その車のメーカーを確認
- 適合情報サイトで詳細の確認
これからそれぞれの手順について詳しく説明していきますね。
ここで得られた情報のみを100%信じて「いきなりカーナビ本体を購入する」などのことは激しくおすすめしません。
例外はつきものです。基本的には「カー用品店の店員さんに、実際に自分の車を見てもらって相談する」ということは忘れないようにしましょう。
※僕のブログの情報に自信がないというわけではなく、もし想定外の要素によって「私の車には取り付けできなかったんだけど!」となってしまっても責任は取れませんということです。ご了承ください。
1.前提条件の確認
「前提条件」というのは、そもそもその車に市販のカーナビ(社外品ナビ)が取り付けできるのかどうかの確認という意味などを含んでいます。
例えば、現行のマツダ車なら全て取り付けは不能ですので「どのサイズが付くの?」という以前の問題です。
これは、現在車に付いているナビが純正品かどうかを見分けることである程度情報が得られます。実際には、「メーカーオプション」「ディーラーオプション」「社外品ナビ」の3つがあります。
上記の3つの見分け方は、以下の記事を参照してください。
メーカーオプションのナビの場合
基本的にカーナビを社外品に取り替えることは不可能です。そもそも前述したような「DINポケット」と呼ばれる車側のきれいな窓口がないのでサイズがどうという概念もないに近いです。
ディーラーオプションナビの場合
最も注意が必要です。
例えばここで付いていたナビが8インチのモデルだった場合は引き続き8インチの社外品モデルが取り付けられるケースが多いですが、7インチのモデルは取り付けられないことは多々あります。7インチワイドに関してはほぼ無理です。
理由としては、取り付けるカーナビのサイズに対して窓口のほうが大きい場合、隙間を埋めるための「化粧パネル」という部品が必要になりますが、「もともとディーラーオプションで8インチのナビを買っているのにわざわざ社外品ナビで7インチを買う人向けの化粧パネルなんて誰も作らないから」ということが言えます。
あー!なんてややこしい!!(みなさんの心の代弁
社外品ナビ
一番安心できるパターンです。
そのナビが付いている以上、それと同じサイズのものは必ず取り付けられます。7インチワイド→通常の7インチというダウングレードも、化粧パネルを含む追加の部品を用意することで基本的に可能です。
2.8インチ以上の車種専用モデルの適合に該当していないか確認する
ここからが具体的な手順の始まりとなります。
まずは大画面サイズのモデルが取付可能な車種かどうかを確認します。
こればっかりは全メーカー分が一覧化されているわけではないので、それぞれの公式HPなどで確認していくしかありません。
発売されている全ての8インチ以上車種専用モデルの適合情報をまとめた表を作成しました。
そのデータは記事を分けています。下記リンクへどうぞ。
この記事の中で「自分の車種がどのメーカーの8インチ以上のナビに適合するか」を調べます。
3.その車のメーカーを確認する
ここまでの段階で8インチ以上のサイズについては区分ができました。
問題は7インチです。ここの「通常の7インチなのか7インチワイドなのか」がカーナビを買うときに最も悩ましくなる部分であるでしょう。
しかし、根本は簡単です。車自体のメーカーによってそもそも「7インチワイドモデルが付くか付かないか」は決まっています。
以下に表を用意しました。
トヨタ | 付く |
ホンダ | 付かない |
マツダ | 付かない |
三菱 | 付かない |
スズキ | 一部付く |
ダイハツ | 付く |
日産 | 一部付く |
スバル | 一部付く |
ホンダ、マツダ、三菱は基本的にほぼ全て取り付け不能です。トヨタは現在まで販売が続いているものを中心にだいたいの車種が取り付け可、傘下のダイハツも同様です。それ以外は車種による、といったところです。
ちなみに、車のDINポケット(窓口)のサイズが7インチしかなくても、まわりを削って無理やり8インチを取り付けるというような魔改造も可能です。ただしカー用品店では受け付けてくれない場合が多いので馴染みのディーラーなどに相談してみましょう。
4.適合情報サイトで詳細の確認をする
ここまで来ると、上記の表で「7インチワイドモデルが取り付け可能」なメーカーの車に乗っている方以外はほぼ取付可能サイズが絞り込めているはずです。
あとは残りの方たちが「7インチワイドモデルの対応車種かどうか」調べれれば無事クリアですね。
さて、このレベルになると一般的なネット上の情報などだけで判断するのは難しくなってきます。そういう意味でもやはり「お店へ行ってね」となってしまうわけですが、ご安心ください。ちゃんと用意してあります。
サイズの話に限らず、カーナビやオーディオ周りの情報が総合的に載っている大辞典のようなものが2つ存在しています。
これらは通常文字通り「大辞典」のように、カーナビを含む電装品の販売を行っているお店に本として置いてあります(お店の人もこれを使って調べながら相談に乗ってくれるはずです)。
そしてさらに、それらをインターネットで誰でも見られるようにしたものが、以下の2つです。
それぞれ「日東工業株式会社」と「carrozzeria(パイオニア株式会社)」が運営しているページです。
実は最初からこれを見れば全て解決してしまうくらい完璧に情報が載っているのだけど、いかんせん知識のない方には難しすぎて使いこなせないので、今回は紹介を最小限に留めるような手順で説明しています。
適合情報サイトの使い方
簡単な使い方をご紹介しておきます。詳しい利用法は別記事で説明しています。
1.自分の乗っている車の型式と年式から、該当車種のページへ行く
型式と年式はお店へ行ってもすぐに訊かれる項目です。事前に車検証などを見て確認しておきましょう。
2.窓口の状況から該当するものを見つける
同じグレード設定の車でも前述したように「ディーラーオプションのナビ付き」もあれば、「オーディオレス車」(カーナビやカーオーディオを何も付けない空っぽの設定)の場合もあるでしょう。それらによって表の行が分かれています。
3.表の内容から取り付けできるカーナビのサイズを読み取る
あとは絞られた行の項目を読んでいけばいいだけです。上記画像の「W2D」や「2D」などと表記されているのがそれぞれ「7インチワイドモデル」、「7インチモデル」に該当します。ここで最後の絞り込みが完了しましたね。
8インチが適合する場合は「8型」などの表記です(注:これは大抵「8インチのディーラーオプションナビ付き車の場合にそう書いてあるだけで、いずれかのカーナビメーカーから発売されている車種専用モデルが存在していることを示唆するものではありません)。
以上で自分の車に取り付けられるカーナビのサイズの説明は以上です。
5.何をどうやっても自分の車にカーナビはつかなそうな方へ
ここまで調べた感じ「俺の車なんもつかなくね…?」となっている方もおられると思いますが、その場合はポータブルナビの凄さを知るチャンスです。
ポータブルナビっていわゆるこういう後付けのやつですが、見かけによらずかなりすごいヤツで(特に最近の技術進化がめざましい)、うまくやると見た目も上記のようにかっこいい感じにできたりします。
「カーナビがつかないときはポータブルナビがおすすめよ!」っていう話は の記事でしているのでぜひ読んでほしいです。「これだけ買っときゃOK」のおすすめモデルも書いてます。
まとめ
無事ご自分の車に取り付け可能なカーナビのサイズは分かりました??
…と聞きつつも、おそらくここで「万事解決」となっている人は少ないですよね。。質問したいことや疑問が山程あるはず。というか記事後半は全然分かりやすく伝えられていない自覚があります。そのうちなんとかします。
僕のブログでも全ての車種、パターンに対して記事内で説明しておくことはできませんが(コメントいただければお調べして回答申し上げます)、それらに対して予備知識を持っておくことでその後をスムーズに進めさせることは十分可能です。
「そんなレベルならこんな記事読んだって意味ないじゃんか!時間ムダにしたわ!」
と思った方、ムダではないんです!!!
ここまでを大まかに理解された上でお店へ向かい店員さんに質問できれば、かなり的確な回答が得られるはずですし、なにより金銭的に損をする可能性はぐっと減ります。変な在庫を押し付けられて買わされることもなくなるでしょう。
その予備知識としてのお助けに僕のブログがお役に立てれば幸いだなと思って、このカーナビカテゴリの記事を書いています。
ぜひ情報を上手く使って満足の行くカーナビライフを送ってください!
コメントでのご質問やTwitterへのご相談などもぜひお気軽にどうぞ~。
この記事へのコメント
個人的な意見ですが、ダイハツでNHZN-W59がついていました。筐体は180mmです。この場合のWは? 筐体は180mmしかつけられません。そこで同じパナソニックでトヨタ純正かダイハツ純正をと思い、NHZN NSZN NSDT は 分かります。問題は-のあと W59G W60G W61G W62G 等パナソニックとケンウッドはどこまでが 筐体幅が 2DINなのか WIDE2DINなのか分かりません。T.N.D.P等 各メーカー-の後にWしかありません。例えば W59G W60G W61G W62G等の後にW59GW W60GW W61GW W62GWとあれば分かるのですが、ネットでどうさがしても型番だけでは分かりません。願わくは各カーナビメーカーの 型番ごとの筐体サイズの分かる方法または 2DINだけ 分かれば良いのですが車種からではなく よろしくお願いいたします。
うーむなるほど、おっしゃることはよくわかります。
純正系はナビ業界の型番付けの一般的なルールから外れていることが多く、たしかうにこのようなことが起こりえます。
型番だけで180mmか200mmかを調べるのは無理なこともありますね。
素直に型番から1つずつ情報を調べていくくらいしか今のところ思いついておりません、お役に立てず申し訳ありません…。
詳しい解説をどうもありがうございます。挑戦してみます!
いえいえこちらこそ!