ライトホラーゲームである「LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-」を遊んだので、これから遊ぼうか迷っている方のためとなる感想を上手に抜き出してまとめます。
プレイが楽しくなくなるような情報、ネタバレの類は一切なくすことを意識しているのでご心配なく。
考察ってほどのもんでもないですが、僕が思うこのゲームへの解釈もちょっとだけ書いてあります。こちらも未プレイの方の目に入らないよう配慮しているのでご安心ください。
ではでは。
概要とか
この記事を読んでいただいているみなさんは「リトルナイトメアという名前だけ知った段階だけど、面白いかどうか分からないからとりあえず調べている」くらいのものだと推定してます。
そんなあなたにまず僕が一言だけ紹介するなら、「めっちゃ奥深い考察ゲー」だよと言います。
ネット上の色んなレビューを見てみると、評価自体は高いものの、このゲームの面白さの根幹が語られていないものが多いというのをすごく感じました。
このゲームは
「難易度がちょうどいいアクションアドベンチャー」でもなければ
「ちょっとした暇つぶしに数時間で一周やって終わりのゲーム」でもないし
「なんとなくのメルヘンチックな雰囲気ゲー」でもありません。
もちろんこの3つの要素も含んではいるんだけど。
ゲーム中では詳しい描写が一切ない「プレイヤーにほぼ全ての解釈を委ねるタイプ」のゲームで、おそらくメーカー側もきっちりとした答えは用意していないと思います。僕も今回この記事を書くにあたり色々見直しましたが、むしろ色んな解釈がどれも同じくらいできるような描写をしているように思えました。本当に秀逸。
というわけでゲームとしては最高に面白い部類に入ると思うんですが、唯一おすすめできない人がいるとしたら極度にホラー系がだめな人です。
僕もここに該当するくらいのレベルでしたが(笑)、それについては次で。
ホラー度合い
公式サイトとかを見ても「ちょっと怖い系の雰囲気だろうな~」って程度にしか見えませんが、僕はマジで怖かったです。笑
※この時点でホラーゲーム経験一切無し
「ぎゃー!」とか「ひぃー!」とか言いながらプレイしてましたが、幸い1人ではなかったのでなんとか進められました(1人だったらそもそも買ってない笑)。というか怖いのは序盤だけで、中盤からは意外とあっさり終わります。ストーリー的には中盤からすごい展開になっていくので良いバランスです。
僕は本当にホラー映画とか一切見られないレベルのくそ雑魚ですが、それでも全然プレイできました。僕と同レベルの方で1人の場合でも、昼間なら全然イケると思いますよ。
全体的にはダークで憂鬱な雰囲気がずっと続くゲームですが、千と千尋みたいなイメージも結構盛り込まれていて飽きずに楽しめました。プレイした方はなにを言っているかよく分かると思いますが、これを説明しちゃうと面白みがなくなっちゃうんでここは割愛。
あと紹介することがあるなら、不思議の国のアリス症候群の話をしておきたい。
このゲームは「幼少期の頃に思い描いた悪夢」みたいな表現が色んなところでなされているんだけど、それを聞いて僕がまず思ったのは「まわりの物体や世界観が異様に巨大で、その異質さが不気味なあの感じ」でした。パッケージも見事にそれを描いています。
これのことを不思議の国のアリス症候群っていいます。
不思議の国のアリス症候群とは、知覚された外界のものの大きさや自分の体の大きさが通常とは異なって感じられることを主症状とし、様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群である。
子供の頃にそういう夢を見たことありませんか?僕は高校生くらいまで結構見ていた記憶があります。
※実際には夢などではなくリアルの世界でそう感じてしまうのを病気として扱ってますが、細かいことは気にしない!
実際、作中でも主人公の小ささとよく対比がなされた大きい家具だらけの部屋とかが出てきて、「ああ、これこれ」ってなりました。
これをイメージしたのかは知らないけど、そういう雰囲気をうまく取り込んでゲームとして昇華させているのは見事でした。少なくとも他のメディアコンテンツで体験できるものではなかったと思う。
ゲームとしての面白さは?
1つのゲームとしての出来、という観点でもレビューしておきます。
1周は初見でゆっくりやっても3~6時間くらいで、僕はたぶん5時間くらいだったかな?しかしこの短さを問題点として低評価に繋げてしまうのはナンセンスで、これはそもそもそういう楽しみ方をするゲームではないと思ってます。
もともとインディーズゲームの扱いだし、「体験型リアル長編映画を2000円で楽しめます」だったらすっごく魅力的じゃない??
実際は考察要素を何度も探しに行ったり、一応解放コンテンツもあるのでそれを集めたりみたいなこともやれるのでプレイ時間的にもコスパは十分だと思います。
難易度も程よいバランスという感じ。
たぶんアクションや謎解きで詰まるというよりは、「微妙にオブジェクトに引っかかってうまく動けない」とか「奥行き感がちょっと分かりにくくて橋から落ちる」とかそんなんだと思います。笑
こういう書き方してますが、僕は全然イライラしたりはしなかったんで問題ないと思いますけど…。まあそれは人それぞれなのかな、全然許容範囲だと思うけど。
ゲームとしてはちょっと頭を捻りつつもサクサク進める横スクロールって感じなので、かなり心地よいと思います。終盤は展開的に圧巻だけど…。
フォローできない改善点としては、わりと死にゲーの側面があるにも関わらずリロードが長いというのがありました。でも今回改めて調べるまでこんなことは忘れてたんで、気にしなくてもいいと思います、実際大したストレスではなかったです。「どうすりゃクリアできるかな~」と落ち着く時間をもらえるのはむしろ嬉しかったかも?加えて、それなりにゲームに慣れている人はたぶん何回も死なないだろうということも付記しておきます。
と、いうわけで、リトルナイトメア自体に関するざっくりとした紹介とレビューはここまで。
それなりに雰囲気は伝わったでしょうか?
色々長ったらしく書いてますが、要は「面白いから買え。」です。
Wikipediaにも書いてありますが、基本的にはSwitchかPS4で発売した上記「Deluxe Edition」を買うのがおすすめです。余程PCじゃないとゲームしたくないとかっていうこだわりがない限りは、ほぼ同価格でDLCも入っている方が良いに決まってます。
パッケージ版は人気のせいかなぜか価格が高騰してきているので、現時点ではダウンロード版の方がおすすめです(特にSwitch)。
次からはネタバレを含む項目になるので、未プレイの方はこちらのリンクから最後へジャンプしちゃってどうぞ。
考察。色々読んでちょっと自分の意見も織り交ぜつつ
ゲームに対する考察をまとめる作業っていうのは実はものすごく難易度が高いので、例によって思いついたものをただ箇条書きにする程度に留めます。
シックスという主人公の女の子
このゲームの考察はほぼ全て彼女に対するものであると言っても過言ではないです。他の要素について考えていても結局彼女に帰結する。
プレイ中、お腹が空いたときの過剰な表現とねずみを食べたところでピンときて、ノームを食べたときには確信に変わりました。シックスは七つの大罪で言う6個目「暴食」なわけです。普段はプレイ中はゲームを楽しむので精一杯な僕なのに、よく1周目でこれ気付いたな…
ここは安直な気さえするけどたぶん正しいと思っていて、そもそも考察に値するレベルですらないとメーカーは思っていそう。プレイ中に気付けた方は他にも多いのでは?
あとこれは他のブログさんで見た意見ですが、sick(s)で病気という解釈。なるほどと思った。たしかに彼女は良く咳してたんですよね。
でもこれだけだとあんまり意味が分からないので、「シックスがモウ、もしくはレディにとって病原体だった」を見たらけっこうしっくスり来た。シェフもシックスが通ると咳き込むというのはこの辺に絡んでいそう。
…と言いつつ、単に「暴食である」という設定を表現する「病気」とも言える気がするけどなあ。
ちなみに海外版だとシックスの表現はsixで、たぶん僕ら以上に「6」という概念にはすぐに気付けるはず。シックスだけに限らずゲームのテーマ全体が「食」であることも鑑みると、ここはやっぱりどストレートに「シックス」って名付けたんでしょう。考察の余地なし!笑
↓北米版の「Six Edition」というやつ。フィギュアも入っている。
七つの大罪はハガレンでもおなじみの
- プライド(高慢)
- グリード(物欲)
- エンヴィ(嫉妬)
- ラース(怒り)
- ラスト(色欲)
- グラトニー(暴食)
- スロウス(怠惰)
ですが、実はそれぞれに対応する悪魔と動物というのがいます。
大罪 | 対応悪魔 | 動物 |
---|---|---|
傲慢(高慢) | ルシファー[7] | グリフォン[要出典]、ライオン、孔雀、梟、蝙蝠、ペンギン |
憤怒(激情) | サタン | ユニコーン、オーガ[要出典]、ドラゴン、狼、猿、鼬 |
嫉妬(羨望) | レヴィアタン | マーメイド[要出典]、蛇、犬、猫、土竜、蜻蛉 |
怠惰(堕落) | ベルフェゴール[8] | フェニックス[要出典]、熊、牛、驢馬、ナマケモノ、蝸牛 |
強欲 | マモン | ゴブリン[要出典]、狐、狸、針鼠、烏、蜘蛛 |
暴食(大食) | ベルゼブブ | ケルベロス[要出典]、豚、虎、リス、鰐、蝿 |
色欲(肉欲) | アスモデウス | サキュバス[要出典]、山羊、蠍、兎、鶏 |
…ここまで書いたけど実はなにも結び付けられなかった!!(クソ雑魚
これ見てなにか思い付いた方います?それぞれ悪魔についても色々見てみましたが関連は見つからず…。やはり「暴食」はそれ単体でシンプルに完結していてあまり深い意図はないんじゃないかと思いました。
また、黄色という色使いも忘れたくない要素。
このゲームの中で彩度が高い色はあまり見かけません。プレイアブルキャラを目立たせるためだけにそういう選択をするゲームだとは思えないので、黄色という暗示にはなにか意味があると思います。
しかしそうなると、レディの部屋で見かけるシックスと思われる写真はさておき、
ワンピースの少女にも黄色が使われていることには必ず意味があるはずです。レディとは結びつかないだろうと僕は思っているので、どちらかというとシックス寄り?
「顔」の表現である他のものは全てその顔が潰されたりしているか見えなくなっているのに対して、この肖像画は比較的顔がよく見えます。しかも三角のフードを被っていないという違いがあるわけですが、ここになんかヒントがないかな?と色々考えたりしましたがここもかすらず…。
プロビデンスの目の三角といい、
タイトルロゴのシックスも近そう。こっちはどっちかというと四角に近いので三角とは違うモチーフ?
「ナイトメアは悪夢、夢は目で見るもの」、でもその中心(瞳)にいるのはリトルなシックス。プレイする前はみんな「彼女が見る悪夢」かと思いきや、プレイ後は「彼女が悪夢自身」という感想にほぼみんながなるわけで、なんだか本当に数多のパターンを同時に表現できる秀逸なロゴだなと思います。
しかしタイトルロゴに置いているということはやっぱり目のモチーフは最も重要な位置付けにいるはず、というのはけっこう自信がある。…あるのだけど、全然分かんない。笑
公式が明確な解答を用意していないと思われるタイプだと考えても埒が明かないのが悶々とします…。
実はこの色に関する扱い方は、けっこうあとにプレイしたINSIDEですごく印象的に利用されていた。どちらかというと最近プレイしたこっちで気付いたからリトルナイトメアでも再認識した感じかな?
INSIDEの感想や考察は別記事で。
ノーム
ノームまわりはわりとシンプルかと。
そもそもシックスは「作中で見かけた、囚われている他の子どもと一緒」ではないでしょう。むしろその描写はDLCであるランナウェイ・キッドくんの方の話で、Runaway Kidは単なる名詞であって名前すら与えられていないわけなので、ここで明確な区別がされていると思ってます。
こういった子どもはノームになることは色んなところで示唆されているので(そのうちの代表例をDLCで追った結果実際にノームになって終わった、ということ)、シックスはそもそもの立ち位置が違います。
最後にソーセージを差し出すシーンはくるものがありますが、いやあ、いい描写するな…。
レディの人物像
鏡が全て割れていること、マネキン(顔がないもの)が多いこと、自分も仮面を付けていることなどから、「自分の醜顔を晒したくない」というのは僕も多くの意見と同じです。
で、「なんで醜い顔になったか」まで書いてある考察はなかったので僕も改めて考えてみましたが、「今レディが持つ凄まじい力を手に入れる引き換えに美貌を失った」のではないかなと考えました。「レディ」という、これまた名前を与えられていない「概念としての存在」が良い裏付けになるかなと。次に続きます。
僕が解釈した全体像
僕の考察総まとめとしては、「エンドレス説」を推します。
モウという1つの舞台上で、永遠に新規のレディが生まれ続けるループのうち、ある1回を体験したのが僕たちのプレイ。
そのときのモウの主人であるレディが、自分の欲望を満たすためにゲストをたくさん呼ぶ。
→「欲望」とは、モウという食欲の具現化であるという意味での「暴食」と、レディが失った美貌にしがみ続ける「美欲」とでも言うべきもの
「食欲を満たすために集まるゲストを(モウの、つまりレディの)食欲に利用する」というのがポイントで、僕は「醜い身体・顔のゲストを集める」というよりは「さらに強大な食欲」を表現する描写なのかなと思いました。
レディ自身の目的がちょっと弱いのがこの考察のイマイチなところなんですが、例えば「どんどん食べさせて自分より醜い姿にさせる」というのは、その後にゲストが100%死んでいることを考えると目的と少しズレを感じます。用済みして殺す?いつ?なぜ?
「パワーを吸い取る」だとすると、わざわざゲストとして丁重に招く必要もないよなあと思います。ご馳走をあげる前から既にブクブク太っているわけだし。
それよりかは、このゲームのテーマである「食」をモウにもレディにも当てはめる方が自然かと。
そしてそこに現れるのがシックス。
レディとの関係は?となると、ここも人によってパターンがキッパリ分かれるところですよね。
僕は親子説がどうしても腑に落ちなかったので、「ウイルスのように紛れ込んだもの」の方がまだマシに思ってます。ただしその場合「なぜシックスにも暴食の概念があるのか」の説明が難しい。これも「感染」と捉えられる…?黄色の件やモチーフの件でうまく説明できないかな!誰か解明してくれ~!!
親子説が腑に落ちないのは「描かれていない部分が多くなりすぎるから」で、こういうゲームの場合辻褄が合わないことよりも違和感を覚えるパターンです。例えば父親は誰なの、なんで娘があんなところにいるの、レディとの関係がどうなってるの、などなど…。
シックスがゲーム開始地点に至るまでのコミック版(英語のみ)があるらしい。読んでないけど、なにが書いてあるんだろう…。っていうか公式?
とにかくそのシックスが、モウの病原体よろしくどんどんレディを蝕んでいくわけですね。その食欲は留まることを知らず、一度はゲストをも全滅させてしまうと。そこで得た「パワー」が色んな代償を伴うもので、このあとシックスも美貌を失っていくのかな(美貌と一緒にパワーも失っていく?)。しかし食欲は衰えない。
なので、最後に一度は脱出してますが、僕はまた戻ってくると思ってます。その食欲を満たせる最高の場所がそこにしかないから。で、以下無限ループという感じかなあ。
この無限ループがどこから始まるのかは定かではないけど、とにかくこの「終わらない怖さ」というのが僕はすごく畏怖の念を感じるというか、リトルナイトメアの雰囲気ともすごく合っているなと思っています。
以上がだいたいの僕の考察です。考察といってもすごい考えたり実際に何周もプレイしたわけではなくて、色々見た上でちょっと考え直した程度ですが。しかも超まとまってないものはご覧の通りです…。難しい!
普段の性格からすると絶対に自分で考えたいタイプのはずなのに、なぜかゲームの考察だけはホイホイWebで調べちゃうんだけどなんでだろうな?笑
追記 (2019/11/23) :一通りこの記事の原稿を書き終えた後で見つけたこちらのサイトさんでは、いまだに忘れていた色んな要素についてかなり深く考察されていて、「おお!」と思うものがけっこうありました…。僕が書いたものもいくつか覆っちゃうかも…。
おわりに
未プレイで飛んできた方は実はもう記事も終わりというトラップ展開なのですが、とにかくここまで来てくれたということは余程気になっているということですよね?ほら、買いなよ?(圧力
僕はもともと考察ゲームが好きなので手に取ったんだけど、図らずもホラー系の初体験も兼ねることができて良かったと思ってます。怖いのに慣れている人はこんなのは本当にファンタジーくらいにしか見えないんだろうけど…。
というわけで、ここ数年インディーズゲームにドハマリしている背景から考えてみても、たった2000円程度でこういったゲーム体験ができるのは素晴らしいことだなと思いました。
良いゲームです!
追記:リトルナイトメア2が2020年に発売されるらしい!
今回この記事を書くときに知ったのだけど、リトルナイトメア2が2020年に発売決定した模様です。
PVも公開されていて、おお、前作よりPVの時点でかなり怖い…。ゾクッとした。
怖いけど次回作もプレイしますよ。笑
順調にホラーの虜になりつつある気もしますが、グロ系とかは死んでも嫌なのは変わってない。
楽しみですね。
遊んだらまたブログに書きまーす!
追記 (2021/1/22) :久しぶりに再確認したのですけど、なんか気付いたら2021年に発売することに変わってますね。笑
リトルナイトメア2、絶対にやりたくないんだけど絶対にプレイしておきたいゲーム。
— みるみ (@milmemo_net) January 22, 2021
マジでホラーダメなのでやりたくないんだけどすごくやりたい。
あーでもやりたくないなー本当に嫌だなーー#やる pic.twitter.com/Lm2dijhHC9
っていうか次のは本気でホラーゲームに寄せてきてる感ある…。怖いけどやろう…w
追記 (2022/3/25) :だいぶ前に 2 は遊んだのですが、ここに追記するのを忘れていました。単体で記事は書かなかったんですけど、その理由含めての軽いコメントは この記事 にあります!
この記事へのコメント
リトルナイトメア2が面白そうだったので、1のレビューを探してました。参考になりました。
DL版1+2のパックを買います。勿論PS4版を。
ありがとうございました!
2が発売されてからこの記事を読みに来てくださる方もとても多くなりました。書いておいてよかったです!
自分もこのあと2をプレイ予定ですので、そしたらまた記事書きます~
ありがとうございました!