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スタンディングデスクのすすめ

この記事は Up&Coming という雑誌へ寄稿している内容とほぼ同一のものです。Up&Coming はフォーラムエイトさんという会社が発行している広報誌で、縁あって僕も記事を書かせていただけることとなりました。

「IT ならなんでも!」というご依頼だったのでネタチョイス的にこのブログとも相性がよく、寄稿した内容もブログに投稿することにしました。よければ本誌のほうもぜひお読みください(ネットで無料で読めます!)。

 

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あけましておめでとうございます。早いものでもう 2026 年になってしまいました。年に 4 回という頻度ではありますが、自分がこの連載についてお話をいただいてからももう 3 年ほどが経とうとしています。よくよく思い返せばこの連載のタイトルは「仕事で役立つ IT アクセサリ」だったわけですが、IT アクセサリとは一体何なのか?――は依然としてわからないものの、少し込み入った技術ネタのようなものが多すぎたかもしれない、という若干の反省はあります。

というわけで今回は、筆者が少し前に購入したスタンディングデスクについて紹介してみようと思います。弊ブログでもすでに似たような記事を投稿済みではありますが (1)、本記事では「立つこと」についてもう少し深堀りしてみる趣旨としたいと思います。今回の内容はきっと「仕事で役立つ IT アクセサリ」であることでしょう!

スタンディングデスク導入の経緯

筆者は自宅で仕事をしています。そしてそのほとんどが PC 作業であり、デスクワークの一般的なリスクとしてよく言われるものがすべて降りかかってくる状況でした。

約 48 万人を 12 年以上追跡したある研究によれば、「仕事中ほとんど座りっぱなしの人はほとんど座らない人に比べて死亡リスクが 16%、心血管死亡リスクが 34% 高い」とされています (2)。また、厚生労働省は「座りすぎの人は座らない人に比べて寿命が短く肥満の傾向にあり、糖尿病や心臓病の罹患率が高い」という資料を公開しています (3)。

もっとわかりやすい身近な例として、みなさんのまわりに職業ドライバーの方やソフトウェアエンジニアなどの知り合いがいれば、腰を痛めてしまった人の話をいくつも聞けるはずです。いずれも長時間座る傾向にある職種で、実際特に多く耳にするものではないでしょうか (4)。

なんとも恐ろしいことです。身体が楽だと感じるから座っているのに、たったそれだけでこんなにも多くの問題が起きてしまうとは信じられませんよね。しかし筆者はこの仕事を年々続ける中で「これは決して遠い未来の話ではない」と直感的に理解できてきたこともあり、単純に自分のデスク環境をもっと整えたいという欲求も相まってスタンディングデスクの導入を決めたのでした。

my-standing-desk

今回購入したスタンディングデスクがこちら。天板の横幅は 160cm というサイズで、デスクとしてはかなり大きい部類に入ります。このサイズがあればほとんどのデスクワークは可能といってよいです。

立つことによるメリット

では、立つ時間を増やすことでどのようなメリットを得られるのでしょうか。

立つことがいいというより、座りっぱなしのリスクが多くある

座りっぱなしのリスクについてはすでにいくつかの資料を紹介していますが、まさに座位の時間に着目した研究もあります。その分析結果によれば、「1 日の座位時間が 6 時間を超える人は 2 時間以下の人に比べ、12 種類もの疾患でリスクが増加した」と報告されています (5)。

結局目指すところは同じですが、「立とう!」ではなく「座る時間を減らすだけ」と捉えるのがよいのではと筆者は考えています。「せっかくデスクワークの仕事をしているのにわざわざ自分から立たないといけないなんて…」と思ってしまうのは誰しも同じ。しかし「普段座っている時間のうち、集中したいときなど少しだけを立つ時間に変えてみる」と考えると心理的ハードルはずいぶん下がるのではないでしょうか。

デスクが座位の高さのままであるとわざわざ立って気晴らししようとはなりにくいですが、デスクを立っているときと同じ高さにできるとなると話は別。「トイレから戻ってきてそのまま自然と作業へ」のようなシームレスな体験にもつながります。

自分の心理的負担をうまく和らげつつ、なるべく座っている時間を減らしていけるとよさそうです。

作業姿勢のポジショニングによる変数がひとつ減る

作業環境の快適さという観点において、しっかりとしたオフィスチェアを導入して正確な高さ調節ができているのであれば、スタンディングデスクに特段のメリットはなさそうです。事実、筆者も購入前はそう考えていました。

しかしこれは明らかに違ったということを実感しています。なぜそうなのかを今回改めて考えてみたところ、椅子という変数がひとつ減ることで姿勢が常に同じになる確率が上がるからではないか、という結論に至りました。

人間は椅子に座っているとき、様々な姿勢を取ります。座り方自体もそうですし、同じ座り方をしていると思っても背筋が伸びているか、どれくらいの深さに腰掛けているか、デスクとの距離は一定か、など、机上面やキーボードなどに対して私たちの位置や姿勢はなかなか安定しません。長時間作業をしていると、肩のコリを軽減しようとして無意識に背中を伸ばしたりいつもと違う姿勢を取ろうとすることはありませんか?あれこそまさにこの考え方の裏付けであると筆者は気づきました。もともとその姿勢こそが椅子をセッティングしたときの最適なポジションであったはずなのでしょうが、普段の作業には全くその結果を反映できていなかったのです。だから疲れてきたときにようやくその姿勢にフォームチェンジしようと無意識に身体が動きます。

最初から立っているとどうでしょうか。椅子という要素がなくなり、机上面と上体の関係が一定に保たれます。依然として片足立ちや膝を曲げるなどの変動要素は多少ありますが、キーボードやマウスに対する腕の接し方はほとんど変わらず、結果として肩や背中が最適な状態が継続しやすいと感じています。

さらに筆者が個人的におすすめしているのは、キーボードやマウスをデスクのかなり奥側に配置し、前腕部を完全に脱力して机上に乗せてしまう姿勢です。座っていたときからこの方針でしたが、これはスタンディングデスクを使い始めてからよりよいものになりました。特に肩や背中が "開かれる" 感覚がかなりの快適さにつながっています。

また、常に同じデスク環境を再現できるという意味で高さのデジタル調整機能も非常に便利です。

flexispot-control-switch

設定した高さを記憶できるプリセットが計4つあり、座ったり立ったりしたとしても常に同じ高さを再現することができます。これの安心感は素晴らしいです。

ちなみに、ほとんどないとは思いますが「完全に立ちっぱなしで一切座らない」というのも当然よいことではなく、今度は静脈瘤などのリスクにもつながってしまいます。何事もバランスが大切ということですね。

モニターとの距離の確保のしやすさ、視線の高さの合わせやすさ

デスクの高さ調節も大切ですが、自分とモニターとの関係も忘れてはいけません。デスクワークは肩や腰を悪くするだけでなく、目や視力にも相当な影響があります。これらを少しでも低減するために、なるべくモニターとの距離は確保し視線の高さにあわせて画面を配置するべきでしょう。

しかしこれもスタンディングデスクの導入によって自然と達成しやすくなります。というのも、やや逆説的なのですが、立って PC 作業をしようとすると標準的なモニターのスタンドではほとんど高さが足りず、結果としてモニターアームを導入することになるのです。これにより、モニターの自由な高さ調節はもちろん、デスクの奥行きを超えてモニターを遠ざけることも可能になります。結果としてデスク上のモニターまわりもすっきりすることになり一石三鳥です。

(もちろんノートパソコンを直接操作する場合は事情が変わりますが、そもそもノートパソコンはキーボードと画面を分離できない都合上、どちらかを自分にあわせてももう片方を適切な配置にすることは実質的に不可能であるという点でかなり不利です。継続的なデスクワークが予想されるなら、少なくともキーボードかモニターのどちらかは別のものを用意することを強くおすすめします)

また、目の疲れに関しても「立ったり座ったりすることが大事」という話と似た考え方があり、単にモニターを遠くにするだけではなく「たまに遠くを見る作業を頻繁に取り入れることで近視の進行や目の疲れをかなり軽減できる」とされています (6)。

この意味で、筆者はモニターの延長線上に窓が見えるような配置をおすすめしています。遠くを見るためには焦点を合わせるものが視界に入ってくる必要がありますが、モニターからふっと視線を外すだけで屋外が見える配置だとこれが容易です。実際にも、米国の眼科学においては「20-20-20 ルール」という日ごろの対策行動がよく推奨されています(20 分ごとに 20 フィート(約 6m)離れた物を 20 秒間見ると目の緊張をリセットできるというもの)。

健康は大切に

スタンディングデスクを導入することによって驚くほどの快適さを手に入れることができました。利便性を追求するデスク環境構築も楽しいですが、健康も忘れずにいきたいですね。

最後に、筆者の個人ブログのスタンディングデスク導入記事もご興味あればぜひご覧ください。すぐにブログへアクセスできるように QR コードも用意してみました。

注:
ブログへの転載版なので QR コードは割愛します。もとのブログ記事は下記です!
https://mirumi.me/standing-desk

立ったり座ったり、近くを見たり遠くを見たり。今年も無理なく健康に過ごしていきましょう。

 

[注釈]:
1. https://mirumi.me/standing-desk
2. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10799265
3. https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf
4. ソフトウェアエンジニアのあいだでは「目と腰と肛門を大切にしろ」という格言が一部で言われるほどです。肛門というのはつまり「痔に気をつけろ」ということで、これも座りっぱなしが原因である有名な例かと思います。
5. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9065298
6. https://cookiemagazine.org/wspos-consensus-statement-on-myopia-control

みるみ
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みるみみるめも筆者

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