この記事では、枕の最も大切な要素である「高さ」についてかなり詳しく/細かく解説しています。
枕を変えることで肩こりや首の痛みを改善することが可能ですが、その大部分を占めているのは「高さ」であると言っても過言ではありません。
枕選びに困っていて「高さについてもっと理論的な解説を見たい」と思っている方にはぴったりの記事になるかと思います。
では「なぜ枕の高さが肩こりと関係があるのか?」に迫っていきましょう。
「実際に売られている枕の高さってどんなもん?」という漠然とした疑問もあるかと思い、売れ筋の人気枕の高さをただひたすら調査して平均を出すという作業をやってみました。
ご興味ある方はぜひどうぞ!
「高さ」は睡眠時に必要な要素
話の流れは簡単です。
まずは「なんでそもそも寝るときに高さが必要なのか」から。
就寝時の理想的な姿勢は「真っ直ぐ立っているときの姿勢」
これ、
人間が立っているときの最も自然な姿勢です。
身体のラインが一直線になっており、見た目にも自然であることが分かります。
ポイントを挙げておきましょう。
- 身体のバランスの重心が横から見ても正面から見ても中央にある
- それぞれの重心を結ぶと一直線上になる
- 首の骨(頚椎)と背骨が緩やかなS字カーブになっている
姿勢の大切さは僕が言わずともみなさん周りの人(お母さん?笑)に散々言われていることでしょう。
では、横になったときも当然それが維持されているべきと思いませんか?
高さを用意することで「真っ直ぐ」を保つ
さっきの立ち姿勢のイラストをそのまま横にしてみます。
あらら。首が浮いています。
よって次の瞬間には
こうなっちゃいます。
そりゃそうですよね、頭が少し小さい分「高さ」が足りないのだから。
あ、ここで「高さ」が登場しましたね!
では「高さ」である枕を追加してみましょう。
ほら、自然になりました!
このときの重心のラインは一直線になっていることが分かりますし、
首の骨(頚椎)も緩やかなS字カーブになっていることが確認できます。
もう一度さっきのヤバい状態と比較してみましょう。
前述の3つのポイントに照らし合わせてみます。
- 身体のバランスの重心が横から見ても正面から見ても中央にある
→どう見ても首より上はバランスが中央にいない - それぞれの重心を結ぶと一直線上になる
→ならない - 首の骨(頚椎)と背骨が緩やかなS字カーブになっている
→首は後ろに傾いているため真っ直ぐ伸びてしまっている
スリーアウトチェンジ!!!
特に3つめの「首の骨(頚椎)に負荷を与えている」という点が首の痛みはもちろん肩こりにも甚大な被害をもたらします。ここは次とその後とでそれぞれ後述します。
とにかく「高さ」があるだけで劇的に身体がラクになることが分かればここはOKです。
さらに適切な高さに設定して「首のS字カーブを緩やかに保つ」
最後、3段階目。
さっきの適正なイラストをもう一度見てみます。
うんうん、非常に綺麗にすっぽりと頭と首が枕にハマっている感じがありますよね。これが大事。
首の骨のカーブに沿って枕がしっかりと隙間なく追従している点がポイントなんです。
つまりですね、しっかりとした枕を用意して頭全体の高さを用意できていても、首まわりに隙間がある場合は首がリラックスすることができず、結局首の痛み・肩こりを生んでしまうということです。
こういうこと。
枕全体の高さはあまり変わらないのに、形状や反発力の有無などの要因によって首のS字カーブが崩れている例です。よくあります。枕が合っていない原因はここにあることが多い。
当然ですが、言うまでもなく
このように高さ自体が合っていない場合はさらに首を痛める要因となります。
「枕が隙間なくしっかりと首の周りをサポートするには、「適切な高さ」の他に「十分な反発力」を必要とします。これがないと結局潰れちゃうからですね。肩こり改善に効果がある枕は全体的に反発力がしっかりしたものが多いです。覚えておきましょう。
さて、今まで「首」の話ばかりしていましたが一体いつ「肩こり」が登場するんでしょうか…。
ご安心ください(?)
次からちゃんと話が繋がってきます。
枕が肩こり改善に効果がある理由:高さによって「2つのこと」が改善されるから
「枕の効果によって肩こりが改善される理由」、つまりこれまでで得られた知識で言い換えると
「枕の高さによって肩こりが改善される理由」は、ズバリ
首への負荷がなくなる→肩へ渡るダメージがなくなるから
です!!
どうだそのままだろ!!!!
…この説明の補填を2つの理由によって行います。
1.肩に繋がっている首の筋肉の緊張をなくす
まず決定的な事実。
首と肩の筋肉は繋がっています。
ということは、首にストレスがかかったら肩にも悪影響があるのは当然ですよね。
なんとなく
「首と肩は近いしどっちかを痛めたらもう片方にも悪そうだなー」
と思っていた方がいたとしたらその感覚は大正解なわけです。
この大きい筋肉は「僧帽筋」という名前で、首や肩の他にも肩甲骨を含む背中などと大きく関連があります。背中の筋肉「広背筋」とも密接な関わりがあるんですね。
一気に話が繋がってきました。
これまで「とにかく寝るときに首を大切にしろ」と口酸っぱく言ってきたのはこのためです。
首への刺激を減らすこと、それすなわち「肩こり」の抑制なんです。
面白いのは、首と肩の関連がある、つまり「肩が凝っているなら首にも相当なダメージがある」というところ。
これまでの話で考えると、余程特徴的な動作を日常で繰り返してでもいない限り、
- 首だけピンポイントで凝る
- 肩だけピンポイントで凝る
という現象は起きないはずです。
もしあなたが「肩こりにしか悩んでいない」としても、たぶん首をもんだら物凄く痛いと思いますよ。
僕もしょっちゅうマッサージに行く人ですが(肩こり改善目的ではない)、「首は全然凝ってないな」と思っていても揉まれると毎度痛いです。笑
まとめると、
あなたはまず首を大切にすべきで、それが達成されれば肩も自然と楽になっていく
ということです。
2.首の骨(頚椎)へのダメージをなくす
「枕と肩、そしてそれを繋ぐ首の関係」の2つめですが、これは「頸椎損傷」に鍵があります。
スケールの大きい言葉がいきなり登場しますが身構えなくてOK。あくまで「可能性」のレベルに留まる話で、肩こりの原因の大部分はさっきの「首と肩の筋肉は繋がっている」の話で説明できますから。
頚椎はこのように「脊髄」を包み込むように順番に配置されています。
例えば「頚椎症」だと
このように一部の脊髄が狭められて神経の損傷、ということになっています。
この場合に起きる症状ですが、損傷が起きた頚椎(脊髄)の場所によって影響部位が大きく変わります。「交通事故で首の骨を折り寝たきりになってしまった」というのはいわゆる「全損」もしくはC1~C2と呼ばれる第1~第2頚椎の損傷などが理由です。
そういう具合で、損傷が起きる部位によってそれぞれ身体の各部位と対応がされているんですね。
一例がこんな感じです。
※これは各文献をあたって調査をしましたが、ソースによってもかならいバラつきがあり、実際の症例もマチマチみたいです。あくまで一例と捉えてください。
少し遠い知り合いなんですが、「肘を曲げる動作までは可能」な方にそれぞれの影響部位について聞いてみたところ、
- C1:そこより下も全て切れる=呼吸などもままらないのでほぼ死亡に繋がる
- C2:自発呼吸が怪しいのでベッドに繋ぎっぱなしでぎりぎり生存できる
- C3:首を動かす、肩のみ動かせる(すくめる動作など)
- C4:肘をやや曲げられる
- C5:肘を曲げられる
- C6:肘を伸ばせる、手首を動かせる
- C7:指先まで動かせて、物も軽く掴める
のようなイメージだと言っていました。
で、この部位の話が首の骨への刺激によって小規模なパターンとして就寝時にも起き得ます。
この図ではC4、C5~C6あたりに「上半身」や「肩」などの記述をしましたが、つまり首の骨(頚椎)へ負荷があるとそれに該当する部分に痛みが出ることがあるという話になるんです。
頚椎症は首の骨(頚椎)の中を通る神経が圧迫されることで生じるもので、肩や首の痛み、手や足にしびれやだるさなどの悪影響があります。
発症部位に近い首を始めとして、手に向けて神経が経由する肩にも影響が出ることが少なくないです。
https://amore-seikotsuin.com/case/cervical_spondylosis.html
C4やC5~C6あたりってどこだっけ?と思い最初のイラストに戻ってみると…。
だいたいこの辺。
見事に一番刺激を受けていそうな部分です…。
というわけでした。
少し規模の大きい話をしてしまったので危機感を煽ってしまったようでしたら申し訳ありません。
実際には大怪我に比べたら本当に小規模なことが起きているだけなんですけど(それも絶対ではない)、「首の骨が肩こりへ関連している要素がこんなところにもある」と知っておいてもらえると、より枕の大切さも伝わるかな、と思ってこうしています。
今まで「年齢を重ねれば肩こりなんて勝手に増えてくるものだろう」となんとなく思っていた方も、適切な対策によって相当抑え込めそうだということが分かっていただけたのではないでしょうか!
枕の購入が初めてで不安な場合は「高さ調節機能」が優秀なものを選ぼう
「枕の高さ」に関する理論的な話は以上で終わりで、最後に高さ調節が最強の枕を紹介にして終わります。
たぶん最強の高さ調節枕「モットン」
素材 | 高反発ウレタン |
高さ | 3cm~11cm(50段階調節) |
サイズ | 幅55cm×奥行き40cm |
価格 | 17,800円~ |
公式サイト | モットンジャパン |
おそらくこの枕以上に高さ調節機能が充実した枕はないと思います。その名も モットン 。
なんと高さ調節の幅は50段階もありますw
高さ自体は3cm~11cm。
この「高さ調節シート」を組み合わせて多様な高さを作り出す仕組みです。種類も3つあります。
僕の経験の範囲で言うと、11cmまで対応されていれば余程規格外の体型や大きさをしていない限りまず問題ありません。
下限が3cmというのは正直使わないレベルですが、小柄な女性にも対応できるという意味では素晴らしい範囲設定に思えます。
モットンは高反発枕なので、正直かなり「ガッツリかため」の枕です。しかしこの高反発さが首を支えるしっかりとした力となり、結果的に肩こりにもならないというわけですね。肩こり改善に対してストレートに本気な枕です。
「やわらかめ」と「かため」の2種類がありますが、特に理由がない限りデフォルトの「やわらかめ」をおすすめします。
お値段は17,800円とこのクラスの枕では比較的安いほうです(本当です、僕の金銭感覚が狂っているわけではありませんw)。
しかもなんと2つ買うと5,000円引きされるので、ご夫婦で検討中の方などには特におすすめしたい一品です。
ある程度「適切な高さの範囲」が分かっている人は…
しかしモットンは
- 高さ調節
- 反発力
という2つに全フリした枕のため、寝心地まで求める欲張りなあなたには少し物足りない買い物となってしまう可能性があります。
そこで僕がおすすめしているのが
の2つです。
高さの調節幅こそ、それぞれ
- 7cm/9cm/11cm(モデル選択)
- 8cm/10cm(調節機能)
というところに留まりますが、これは枕の高さとしてとても標準的ですし、何より自分の適正な高さが分かっていればこれら以外の枕を買う理由は一切ありません。
枕に15万円以上かけてきた僕が心からおすすめする枕3つの記事でもずーーっと言っている通り、できることならこのどちらかの枕を使って欲しいです。
かなり不安なときにのみ、高さ調節機能が充実したモットンに頼る、というくらいがおすすめです。
詳しくは下記記事に超詳しく書いていますので、ぜひじっくりお読みください!!
あなたの枕探しの旅はこの記事で間違いなく終わるはずです。
気持ち良い朝、手に入れましょうよ!!
では今回はこんなところで。