この記事では、KENWOOD(ケンウッド)のカーナビ「彩速ナビ」について、ラインナップやメーカーの特徴などを詳しく解説しています。
実際にオートバックス等のカー用品店にカーナビを見に行ったことがある方は分かるかと思いますが、この「KENWOODの彩速ナビ」と「Pioneerのcarrozzeria」あたりがかなり大きく目立つような販売体形となっており、そのどちらかで迷っているような方も多いことと思います。
主に価格の面で有利さを見せつけられますが、その他彩速ナビの優れている点について解説を意識しています。
KENWOOD(ケンウッド)はどんなメーカー?
KENWOODはご存知の通りもとはオーディオメーカーで、他にも無線機器等で有名でした。現在は「株式会社ケンウッド」という名称の会社が存在しないのも周知の通りで、日本ビクター株式会社との合併以降は「JVCケンウッド」としてそのブランドが維持されています(カーナビの製造メーカーも、正確には当然「JVCケンウッド」です)。
そのオーディオブランドイメージをカーナビにも引き継ぎ、カースピーカーなどの製品も合わせて「音へのこだわり」を前面に押し出した宣伝を行っています。
また、Wikipediaにこんな記述もあります。
1947年に商標をTRIOとし、1960年には社名もトリオに変更。 オーディオブーム全盛の頃には山水電気(破産済み)、パイオニア(2015年3月2日よりホームAV機器事業は全てオンキヨーの完全子会社のオンキヨー&パイオニア(旧・パイオニアホームエレクトロニクス)へ移管)と並びオーディオ御三家とされ「サン・トリ・パイ」と通称された。
Wikipedia「ケンウッド」より
冒頭でも書いたように、この頃からパイオニアとは肩を並べ合う存在同士だったのが伺えますね。
音響機器メーカーは軒並み経営難に襲われているようですが、JVCケンウッドも例外ではなさそうです。今後のカーナビ開発の動向も気になるところです。
彩速ナビの特徴
彩速ナビとは、その名称からも分かる通り
- 彩:画面の精細さ、美しさ(もしくはそれ以外の意味も含まれているかもしれません)
- 速:操作のサクサク感、スピード感
が優れたナビであるということで、特に後者の操作の反応の良さによる快適さは本当に目を瞠るものがあります。初めて触ったら感動するレベルと言えます。
タッチ、スワイプ、フリック、ピンチイン・ピンチアウトなど現代で日常的にスマートフォン等で使用している使用感をそのまま車の中に持ち込めるのは偉業と言えるでしょう。
同じ操作システムは他社も同じとは言え、レスポンスの良さという土俵で彩速ナビに勝るカーナビは存在しないと思います。
以下、その操作感の件も含めて彩速ナビの特徴と思われる内容をご紹介していきます。
圧倒的なサクサク感、ストレスフリーなUI
彩速ナビの一番の肝である「高い操作レスポンス」。それを実現させているのは「ジェットレスポンスⅢ」という技術です。
先ほど「スマートフォンライクな操作感」というようなことを僕が言いましたが、実際にKENWOODも
当社独自の高速描画技術「ジェットレスポンスエンジンⅢ」はデュアルコアCPUの採用により、フリック・ピンチイン/ピンチアウト・ドラッグ操作など指に吸い付くようなスマートフォン感覚の操作が可能。さらに、瞬間スクロールでスムースな操作が行えます。
という説明をしています。
こればかりは文章、もしくはいくら動画も存在するとはいえ自分で触って操作を実感してみる以上のものはないので、ぜひお店へ行って実際に確かめてみてください。
ただし、カーナビを広く知った僕が皆さんのベストなカーナビ選びのために言いますが、お店へ行ったときの直感的なフィーリングのみで、そのまま他のことは考えずに購入自体を急いでしまうことは後々の後悔に非常に繋がりやすいです。
実際にそういう方を何人も見ていますので、ご自分の性格に合わせて慎重な買い物を心がけましょう。
そうは言っても、この素早いカーナビはぜひとも欲しくなりますよね…。
オーディオメーカーの潮流を汲むオーディオ性能
「彩速」の2文字に「音」のニュアンスはどこにも含まれていないように感じられますが、オーディオメーカーとしての音へのこだわりはかなりふんだんに詰め込まれています。
(改めて考えると、KENWOODは音質もかなり攻める宣伝をしていながら「彩速ナビ」というネーミングになっていることに僅かながら疑問を感じますね。)
カーナビにハイレゾ!という取り組みをいち早く行い始めたのもKENWOODでした。今では各社とも対応が進んでしまいましたが、その一瞬抜きん出たタイミングはKENWOODにとっても大きな躍進となったでしょう。
「K2テクノロジー」という、いわば「アップサンプリング」のような技術が盛り込まれており(過去にもKENWOOD製品には似たようなものがありました)、これにより一気にサウンドがメリハリのあるものに変わります。
音楽を聞くのはオーディオルームではなく運転中の車なので、たとえ原音忠実再生からいくらか離れようとも、くっきりはっきり聞こえるほうが聞こえないよりいいという考え方が存在しますが、僕もかなり一理あります。
カースピーカー自体の内容については激しく脱線するのでもちろんここではお話しませんが、かなり特徴のあるKENWOOD製スピーカーに合うのは、やはりKENWOODの彩速ナビではと思います。
「彩」としての画面の高画質さ
彩速ナビは、とてもカーナビとは思えないメリハリのある高画質さにすぐ気付くことができます。
実際にお店に行ってパッと見たときに抱く感想は、まさしく「色彩豊かな画面だな」といった感じだと思います。
性能の良い静電容量式タッチパネルがミドルクラスのモデル帯にまで搭載されているのも含めて、高精細な画面表示を行うための技術にこだわりが見られます。
どうしても「速」の面ばかり目立ちがちですが(それだけすごいのも事実ですね)、並列にネーミングさせている「彩」の方にも相当のクオリティがあると思って良いでしょう。
実際、僕も今までに色々なカーナビを見てきていますが、画面のきれいさはどれもどんぐりの背比べだなあと思う半面、たしかに一番印象に残っているのは?と訊かれるとこの「彩速ナビ」な気がします。
シックなデザインも含めて、見た目にもこだわりたい方にはうってつけの一品と言えるでしょう。
彩速ナビのラインナップを解説
ここからは彩速ナビの詳細なラインナップをご紹介します。
大きく分けて、
- フラッグシップである「Zシリーズ」
- ミドルクラスである「Mシリーズ」
- エントリーモデルとしての「Lシリーズ」
の3ライン構成です。
以下1つずつ見ていきましょう。
彩速ナビのプレミアムモデル「Zシリーズ」
彩速ナビのフラッグシップにあたる、最もハイスペックなモデルが「Zシリーズ」です。
型番としては「MDV-Z905」などのような形となります。
彩速ナビ全般に言えることですが、その高いデザイン性も大変魅力的です。フルフラット(平ら、という意)でスタイリッシュなブラックデザインが、車への美しい調和をもたらします。
Zシリーズならではのハード的機能として、画面が上を向いてしまうことを防ぐ「逆チルト機能」があります。この角度の設定段階が7段階と非常に多く、こんなに多段階なカーナビは他にありません。
それと同時に、画面の視野角を設定するというユニークな機能まで付いています。車種によって視認性が悪かったり、朝日や西日でカーナビが見えにくいという問題に対しての対処は完璧でしょう。
また、ナビ性能として、位置測位精度も多彩な技術が使われています。
これはGPS電波の届かない立体駐車場の中での測位位置の軌跡を表したものですが、見事にしっかりと測位できていることが分かります。この辺り諸々を含めてKENWOODは「高精度測位 環境補正プログラム」と呼んでいます(Mシリーズも該当)。
「マイルートアジャスター」という、検索ルートの条件を細かく優先付けられる機能も非常に便利です。
また、一般的な案内地点での画面は以下のようなイメージです。
このシーンは「ここです案内」と呼んでいる機能で、次に曲がるポイントや分岐点までの距離を画面上にカウントダウン表示するものです。案内ポイントが近づくと、交差点拡大図に自動的に切り替わります。
以上のように、機能的にはMシリーズと共通する部分が多いZシリーズですが、下記のような場所で差別化を図っています。
- イコライザーの性能差(プロモードEQの搭載)
- HDMIとMHLへの対応
- Apple CarPlayとAndroid Autoへの対応
彩速ナビはフルで楽しみたい方は迷わずZシリーズを選ぶと良いでしょう。
「彩速マスターモデル」と称す「Mシリーズ」
ミドルクラスのMではなく「マスターモデル」のMのようですが、実際はミドルレンジに属しているのは「Mシリーズ」です。
しかし、上述したように機能的にはほぼZシリーズと同じレベルのものを持っているため、コストパフォーマンスという意味では最も優れているモデルと言えるでしょう。
実際、彩速ナビの売れ筋はこのMシリーズが一番です。
目立つ機能として、新INFOウィンドウモードという、8つの好きな情報画面を組み合わせて使えるようなものがあります。
上記の画像でいう右側のメインウィンドウ側を8つの情報画面から選んで使用することができます。
また、彩速ナビの上位モデルの特徴として「アクティブオーバーレイGUI」というものが挙げられます。
これによって、今までは「HOMEボタンを押したらHOME画面に移動する」という単純な遷移だったものが、「ナビ画面上でHOMEボタンを押すとそのレイヤーの上にHOMEメニューを表示する」というような挙動に変わります。
主にはデザインだけのためのものかと思いきや、
- レイヤーを被せるだけなので画面遷移ではなくなりさらに高速化
- 後ろに地図が僅かに見えているだけで案内を阻害されている気分になりにくい
など、隠れたメリットがあります。これは非常に画期的ですね。他社にはないものです。
使いやすさという意味では、自分だけのメニューをセッティングすることも可能です。
案内画面も含めて好みの画面設定ができるというのもまた素晴らしいです。
これらのように、事実上はミドルクラスであるように見せながら、「マスターモデル」というだけのハイスペックさを兼ね備えているMシリーズは最も購入の検討可能性が高いでしょう。
これだけの性能でなんと価格はかなり抑えめとなっているのも見逃せないポイントです。ベストバイな一品ですね。
シンプルな構成ながらも彩速の2文字はしっかり務める「Lシリーズ」
彩速ナビの中でもっとも価格も低いエントリーモデルである「Lシリーズ」の紹介です。
実際、かなりの安さなのにも関わらず「きれい」「はやい」は損なわれていないという意味ではさらにコスパ最強モデルと言えるかもしれません。
特に、「彩」の面では画面の構成部品がやはり廉価モデルにふさわしいものになってしまっているのに比べ、
「速」の面では最上位モデルとも全く遜色のない同水準のものが期待できるのは最大のポイントです。
基本的なメニュー構造もシンプルで分かりやすい設計になっており、「直感的な使用感」にここでもこだわっているようです。
ナビゲーション画面でも、「案内先読みガイド」のような便利な機能はしっかり整備されています。個人的に、走行ルートを表示しながらルートの確認ができる「オンルートスクロール」というのは非常に便利に感じます。
その他ナビゲーション画面のイメージを載せておきます。
その他、Mシリーズの項で紹介した「マイメニュー機能」なども同じものが搭載されています。
上位2モデルとの主な差異もここでまとめておきましょう。
- ハイレゾ非対応
- 高音質コーデックLDAC対応(ハイレゾをBluetoothなどで無線圧縮転送するための技術)
- 6軸慣性センサ非搭載
- 高精度測位環境補正プログラム非搭載
- 新INFOウィンドウモード非搭載
などですね。逆に、ここに魅力や必要性を感じなければ十分にこのLシリーズのモデルでKENWOODの彩速を楽しめるということです。
賢く選んで便利なカーライフを送りましょう。
まとめ
以上がKENWOODのカーナビ「彩速ナビ」の紹介でした。
冒頭から何度も言っているように、とにかく驚きなのはその「速さ」です。お店へ行って決めようという方が特にこだわりもなく即決するタイプならまずここに落ち着くでしょう。
しかし途中でも言いましたが、それだけに囚われずに広い視点でカーナビ選びができるといいですね。彩速ナビだって、速さ以外にも素晴らしい点はたくさんあるのは今までご説明してきた通りです。
みなさんが良いカーナビ選びができることを願って、今回はこの辺で。