この記事はいわゆる「投書」に近いものだと思っていて、読者の方に読んでもらうものというよりは、自分のブログの場を借りて意見周知したいという側面が強いかもしれません。
…そうは言ってもみなさんに読んでもらえた上で、さらには共感なんかされちゃったりするとやっぱり超喜びます。もちろん反論もウェルカムです。色んな方の意見を聞きたいです。
初めて空の軌跡FCというゲームをPSPでプレイしてからもう10年以上経つことになります。
当時はまだ大人でもない年齢だったけど、そのときから既に「良いゲームだなあ」っていう感覚はあって、実際のところ今僕が思う「本当に好きなゲーム」っていうものに当てはまる。
そんな軌跡シリーズなんだけど、ここ最近の、特に「閃」の後半2作あたりから漂う「だめさ加減」といったらなくて、このどうしようもない虚しさというか悲しさをひとりのプレイヤーとして伝えたいというのがこの記事の趣旨です。
単なる文句を言うだけの記事にならないように細心の注意を払っています。
(というか本当に好きだったものだからそんな風に言いたいとはむしろ微塵も思っていないのです…)
ノスタルジックな雰囲気漂う、古き良きRPGだった。のに…
軌跡シリーズと言えば、歴史あるファルコムの「英雄伝説」の潮流をちゃんと受け継いできている由緒正しいRPGだと思ってます。
いわゆる俯瞰型マップのRPGで、二頭身デザインのドットキャラを操作する。
もう僕としてはこれだけでもたまらない感じで、なおかつそこにセリフの横に表情豊かなキャラの顔が見えて、すごくその世界観に感情移入しちゃうっていう本当に好きなシステムでした。ファルコムの特徴でもあるよね。

ちゃっかりすごいシーンを持ってきた
フィクションさを忘れるような独特なシナリオプロット
初めてゲームで泣いたのも空の軌跡でした。
FCが終わるとき、「え?え?こんなとこでゲーム終わるの!!??」と唖然としながらエステルの思いに身を重ね涙し、SCの最後では記憶を取り戻してもなおドS考古学者に操られてエステルを殺してしまいそうになるヨシュアの境遇に悲しみ、涙しました。結果的に助かったけど。ケビンぐっじょぶ。
「大きくて広い世界のはずなのに、描いているのは女の子と男の子の小さな旅」っていうスケールの対比がすごく良く出来ていて、小さな村をまわること1つとっても、登場人物にとても親近感が得られました。
気付けば知らないうちになんかかわいい恋愛要素も入っていて…。グロリアスを降りてきたあとの夕焼けの海岸のシーン、最高でした。あそこも泣いてたかも…。
RPGをやるときは街の人全員に逐一話しかけるタイプの僕ではありましたが、このゲームでは妙な義務感でそれを行うのではなくて、「その世界に本当に浸りたいから」触れ合いました。エステルたちが話しかけることで、本当にその住人たちの声が聞こえてくるような気がしたんです。
まあこの辺は「自分が若かったから」というのは絶対にあるだろうとも自覚しています。
超良質のBGMをバンバン出してくれる秀逸なサントラ
ファルコム作品といったらここでしょう。本当に音楽が素晴らしい。
イース1の時点から高い評価があったようですが、それも頷けます。過去作の全然プレイしたことないゲームの音楽を抜き打ちで聞いてみても印象に残るようなメロディ、たくさんあります(原則やったことのないゲームの音楽は聞かない主義なんですけどね)。
僕は「ゲーム音楽でご飯3杯イケる」ことをよく自己紹介で言いますが、それほどのゲーム音楽オタクを自負している中でも、ことファルコムのサントラは最高な評価です。
しかも、ファルコムは「ファルコム音楽フリー宣言」というのを行っていて、なんと「どこでも自由にファルコムの作曲した音楽を使っていい」という内容です(著作権フリーという意味ではありませんし、当然再販等はNGです。詳しい利用規約はこちら)。
追記 (2019/7/7) :サイトがリニューアルしてこのページもバージョンアップしてました。
自分たちの音楽に自信がある、しかもその音楽をお金に換えたいのではなくて、よりもっと多くの人に聞いて欲しい、という願いが僕には感じられます。なんと素晴らしいんでしょう。任天堂も見習って欲しい
ゲーム音楽単体の評価のみならず、ときにアツく、ときに儚いこのサントラがゲーム自体を何百倍も素敵なものにしてくれていることは疑いようもありません。何度も僕らのハートを揺さぶってくれました。
まさに映像、シナリオ、雰囲気、音楽、と「1つの総合芸術作品」のようなゲームづくりがファルコムのなにより好きなところでした。
広げすぎた風呂敷と無理に頑張った3D化
碧の軌跡あたりまでは、練られに練られたシナリオに宗教的な深い考察の登場まで、すごく楽しんでやっていた。のだけど、さすがに「これどうやって畳んでいくのかな」と心のどこかで訝しく思い始めたのもこの辺り。
実際に描く世界観が増えるということ
さっき「大きくて広い世界のはずなのに、描いているのは女の子と男の子の小さな旅」っていうスケールの対比の話をしたけれど、つまり実際に描こうと思う量が増えてしまうとこの絶妙なバランスは崩れざるを得ないということを意味している。
「なんかプレイできるキャラも毎作増えていくし、こんなに広いんじゃ街の人もみんな同じような人だろうな」
みたいな心境に少しずつなっちゃうと思うんです(例外はあるし個人差もあります。念を押しますが、僕の感想ですしクレームが目的ではないです)。
もちろん個性豊かでずっとおもしろい奴とかもいるわけですけど、その世界観自体に感情移入できているかって言われると今は違うような気がします。
また、広げすぎた風呂敷は多くの問題も包むことになります。
- 必然的に登場人物が増えるので実力のインフレが起きやすい。現実的な感覚と乖離が生まれて説得力がなくなる(ex:マクバーンやリアンヌが学生と良い勝負をする、とか)
- その後始末となる「負け試合」や、久しぶりキャラの登場シーンをどうしても用意しなければならなくなるが、それが完全にワンパターンになってしまう(ex:戦闘後に誰か味方が奇襲していきなり登場するアレとか)
- キャラが多くなり(特に味方サイド)、こっちの感情移入パラメータの手持ちは100%だとするとどうしても個々のキャラへの思い入れは薄くなる(ex:マキアスへの「お前誰だよ」感など)
一般的に最近よく言われるレビュー内容はこの辺りがメインになっていることが多いですが、概ね僕も賛同します。ただ、「なんでそうなってしまったのか」までちゃんと考えると原因は案外「時代が進んで続編も増えたから」なんていうところに行き着いたりするのかもしれません。
無論、もっとおもしろくさせることは努力によって可能ではあると思いますけど。
しょうがないってのは分かります。十二分に理解しているつもりです。続編を出し続ける以上取らなければならないリスクがあって、失うものもあるのは分かりますが、どうしても空の軌跡のあの雰囲気を僕は忘れられなくて、さみしく思ってしまうんです。
これは別に「どの作品から」っていうキッパリとした線引きがあるんじゃなくて、最近になるにつれどんどんクレッシェンドしているなっていう感じです。
時代の流れに乗らざるを得なかった?3D化は…
ここを一番の問題と捉えている方も多いかと思います。閃の軌跡以降では大幅なゲームシステムという"見た目"のアップデートがありましたから。ネットを見るとPS3時代のグラフィック、画質の悪さを酷評している方などもいらっしゃるようです。
3Dになるというのは外見上の問題だけではありません。普段のゲーム画面上も「主観視点」になるのが相場ですし、ということはプレイヤーから見るマップの形態も変わるし、ゲームシステム的にごっそり変更があるということです。
そもそも僕は見下ろしマップの2D視点が好みだったのですが、そこは個人的な趣味なので置いておくにしても、軌跡シリーズでこの3D化というのはやっぱり似合っていなかったんじゃないかなあと思います。
考えられるデメリットというか、嬉しくない点を挙げてみます。
- 表情が目の前で現実的に描かれることになってしまい、プレイヤーがそれぞれの"想像"によってゲームの世界へ没入感を得られる要素が減ってしまう(ここは僕が思う「ゲーム論」の話が絡んでいます。このブログでは何度も話しているので割愛します)
- オブジェクトも目の前に置いてリアル感を出さなければいけなくなり、「調べる」対象に面白みがなくなったり、ダンジョンの仕掛けが単調になったりしやすくなる
- 360度の視界が広がるが、現代的で超精細なグラフィックとも言い難く、どうにも陳腐な世界に見えてしまいがち。結果的にまわりの情景や建造物の視覚を楽しめない
- グラフィックの開発にリソースが割かれることになり、必然的に他は(以前と比較して)疎かになりやすい
などなど、開発的なデメリットはもちろん軌跡シリーズが持っていた独特な良さも失ってしまうリスクを大きく孕んでいました。
そしてさらに、3D化はキャラデザインの話へと繋がります。
イラストデザインの大幅な変更
会社的な都合なのか、現代の流行に乗ろうと思ったのか、はたまた制作陣の誰かの趣味でこうなったのか僕には知る由もありませんが、「軌跡シリーズが堕ちた」と言われる1つの要因であることは間違いないでしょう。
勘違いしてほしくないのは、なにもそのイラストデザイン自体がダメと言っているわけではないということです。いや、なんなら僕は好きですよ?女の子はみんなかわいいし、リィンもロイドもイケメンな感じがよく似合っていると思います。ヨシュアは誰なのか分か(ry
ここでまた問題となるのが前述の3D化の件です。
「モデリングしやすいデザイン」「動かしやすい絵のデザイン」というのはどうしても存在します。
もともと2Dゲームだった軌跡シリーズのスタートを考えれば、途中でハードの世代も変わり→じゃあキャラデザも一新させなきゃ、という流れは理解できます。
大幅なデザイン変更が閃の軌跡以降なされた一番の理由はここにあると推測できますが、一部納得のいかない点もあります。
なにも過去作のキャラを含めた平面絵も軒並み変更しなくて良かったんじゃないか?というところです。

誰この人たち
そう考えるとやっぱり担当の人員が単純に変わったとかなんでしょうかねえ。
音楽もずっと「Falcom Sound Team JDK」というクレジットですが、実は中の作曲担当の方は途中で変わっています。僕が知っているのはSCとthe 3rdの間。たしかに使っている音源も作風も全然違いますよね。
ファルコムのトップクラスのウリだった「音楽の良さ」も失われている
これは正直一番ショックでした。これを思い始めたのは閃の軌跡3からです(4も)。
今まで話してきた内容とは全く関係がない要素な上に、閃の軌跡3の直前に発売されていた「イース8」の音楽も本当に素晴らしいものだったので(恥ずかしながらイースシリーズはこのとき初めて遊んだんですが、「本当にファルコムのゲームは中身も音楽も外れないな」と心底思ったんです)、なぜ閃の軌跡3からいきなりなんの印象にも残らないサントラになってしまったのか疑問でした。
よくよく考えればイースシリーズと作曲担当の方が違うのはさっき書いた話からも容易に想像できることなんですが、もうそういうレベルの問題ではないと思っています。

実はファンの中では「このサウンドチーム内で誰がどの曲を担当したか」が結構知られているんですが、まあこの辺のややこしい事情が最近のファルコムの評価を落としている原因にもなっているようです…。
そもそも閃の軌跡3以降も、人が変わったような劇的な音楽の違いは感じないんですが、とにかく印象に残る曲もなければ「良い曲だなあ」と思うものもなく、戦闘で流れるアツいサウンドも1曲も盛り上がれませんでした。
例えば戦闘系では、「これが力を入れて見せ場で使いたい曲なんだろうなあ」というのは分かるんだけど、いかんせん(言葉は悪いですが)程度が低く、全然ファルコムを感じられません。今までの軌跡シリーズはこんなものではなかったです。これだけははっきり言えます。
閃の軌跡2までは好きな曲はたくさんあるので、絶対に気のせいではないと思っていて、ここは最も多くの人に意見を聞いてもらいたい or 聞かせて欲しいところです。
「ゲームはアレでも、音楽だけは聞きたいからソフトは買いたい」っていう意欲すら、もうなくなりかけています。
実は閃の軌跡3の発売後にこの音楽の話だけに限ってファルコムに本当に投書したんです。4はほとんど期待していなかったんですが、もともと1作品だったのを2つに分けたという話でしたしこれは仕方なかったですね。同じ曲も多かったし。
今の考えとしては、イース9で次期判断としたいという感じです。
ファルコムへ思うこと
色々書いてきましたが、今僕の頭にあるのは「なぜ?」「なぜ?」というとにかく疑問ばかりです。
音楽の件しかり、ワンパターンシナリオの件しかり…。ファルコムならもっとおもしろい芸術作品を絶対に作れるはずなのに…。って感じです。
閃の軌跡3、4は今まで話してきたような内容に加え、そもそも「ゲームとして」全くもっておもしろくなかったというのが今回僕がこういう記事を書こうという一番の原動力になった要因でした。
ストーリーを消化すればいいや、というこっちが仕方なくプレイしなきゃいけないために思う「言い訳」がなんだか制作側からも同じ「言い訳」として聞こえてくるような気がするんです。
「ゲームとしての要素はおざなりで、とりあえずシナリオを追ってね」という感が、どう頑張っても拭いきれず、3と4は正直苦痛でした。今までのファンじゃなければ絶対に途中でコントローラーを置いています。あ、リィンは好きです(4の絆イベントは見たくなかったけど)。
訳の分からない作画崩壊オープニングをいきなり見せつけられるユーザーの気持ちは考えたことがあるでしょうか(ここにリソースを割かないように外注にしたのだと思いますが)。
(正直これは爆笑してしまうレベルで1周回っておもしろいので、改めてもう一回みなさん見てみてください笑)
4もここまで来てストーリーの落ち着きどころを見ないわけにはいかないと思って始めたんです。初めてeasyモードを選択して、サブクエストや絆イベントなど脇目も振らずクリアだけのために遊んでしまいました。この選択をしたこと自体を悲しく思ってしまうくらいです。
そういうわけなのでファルコムさん、一度、一度だけでいいので、立ち止まって振り返ってみてはくれないでしょうか?
ひとりのファンからのお願いです。
さいごに
僕はゲーム自体のファンであるとは自負していますが、ゲームソフトのメインコンテンツ以外に投資したり、はたまたなんかのイベントへ行ったり誰かの話を聞いたりっていうことはほぼしていないので、おそらく僕が知らない情報は多々あります。そして今回の記事で書いた中にもそこに当てはまるものはあるでしょう。
ということで、もし僕が全くもって見当違いなことを言っていたら、どうかファンのみなさんは怒らないで教えてほしいです。「先に調べてから記事書けよ!」というご意見は至極真っ当だと思いますが、多くのゲームプレイヤーは僕と同じ状況にあるということを忘れないで欲しいという考えのもと、こうしています。
「他の大多数の人の代弁をしている」なんてところまでいってしまうとさすがにおこがましいですが、わりと一般的な感想をベースに書いたつもりです。ましてや、元が素晴らしいゲームだっただけにこの落差は少なからずたくさんの人が感じていることと思っています。
とまあそんなわけで、最後にはなりますが、たったひとりのただ僕という人間の感想だったと思っていただけたら幸いです。願わくばファルコムの方に届かんことを。